うちの娘は1歳7ヶ月になった。あっという間だ。と一言では済まされないこの月日。気づくと終わってしまういちにちはアッという間だ。
成長を日々見せてくれるのは確かなのだけど、どちらかというと「○○ができるようになってるなあ」とか「そういえば、最近○○しなくなったね」と、過ぎてから気づかされる。しかも後者の気づき方のほうが多くなってきた。進化のスピードが速くて、私たちが追いかけているかんじ。
そのうち「オムツがいらなくなったね!」「字が読めるようになったね!」・・・「あんなにおっぱいおっぱいって言ってたのに、ビールが大好きになったね!」なんていう日が来るんだろうなあ。どんどん親は手を出さなくてもよくなってくる。嬉しいような寂しいような気持ちというのはこのことなんですね。でもまあ、ビールが一緒に飲める日が来るのは楽しみです。
やりたいようにやらせてあげたい。楽しいことは特に。でも危険なことからは守ってあげたい。教えられることは教えてあげたい。
ぶれない心でじっと構えてよく見て、危ないときや寂しいとき、甘えたくなったときにだけ大いに手や胸を差し出してあげる。
そんな理想はあるけれど、まだまだこちらも修行中。
一日を振り返るときに、自分の本棚からこの一冊をとり出して読むこともあります。

ごんごんは、すてられたちいさなねこです。
ちょんというねこは、おばさんの家のねこ。人間で言えば98さいくらい。
おばさんの家にはのんという犬や、にわとり、池には金魚や鯉、こたつと囲炉裏、ねずみだっています。たくさんの花も樹もあります。
仲間にしてもらったごんごんは一人前のねこになるために、必要なことはちょんから教わります。失敗するたびにちょんはごんごんのしたことをたしなめ、知恵を伝え正しいことを教えてさいごにこう言います。
「なにごともじぶんでおぼえるがかんじん。わかったか」
お母さんのように、おばあちゃんのように。
悲しい出来事も起こりますが、それも自然やこの世の当たり前のこと。世界はひたすら続いていくのです。

大道あやの、力強いタッチの画が、決してふわふわと優しいだけではない『教えてくれるひと』の存在や、季節ごとに変化する花や木々の野性の力、そしてそのなかでの生活を表現しています。野に咲く植物や、ひっそりと描かれている鳥や生き物をページごとに楽しむこともできます。

読み終わったあとには、自分がこどもだったときのおばあちゃんとの思い出に浸ったり、母というひとのことを想ったり、娘の寝顔を見に行き顔をペロペロとなめてやりたくなります。
そして明日もまた頑張ろう!とおもうのです。 K


大道あや 「ねこのごんごんこどものとも229号 商品ページはこちら→